【ネタバレ有り】デヴィッド・リンチが描いた、まっすぐな旅

4Kリマスターで出会った、静かであたたかい“リンチらしさ”

先日、市内の映画館で『ストレイト・ストーリー』4Kリマスター版が上映されていると知り、観に行ってきました。
デヴィッド・リンチは好きな監督の1人ですが、この作品はまだ観ていなかった1本。
ロードムービーが好きな自分にとっては、ずっと気になっていた映画でもあります。

本作は、実在の人物アルヴィン・ストレイトが、疎遠になっていた兄に会うため、時速8kmの芝刈り機(トラクター)で数百キロの旅に出る物語。
交通手段を持たない高齢の彼が、自らの意地と誇りを胸に、ゆっくり、ゆっくりと進んでいきます。

『ブルーベルベット』や『マルホランド・ドライブ』のようなリンチらしい不穏さや、夢と現実の境界が溶けるような演出はほとんどなく、むしろ物語はとても素直で、タイトルどおりまっすぐ心温まる物語です。
それでも、やっぱり所々に「リンチ」が顔を出す場面が幾つかありました・・笑



↑特に印象に残ったのは、主人公アルヴィンが途中で出会う人々との交流です。
若い家出少女との語らい、同じく高齢の退役軍人との会話、親切な農家の人々。
大きな事件は起きないけれど、一つひとつの出会いが、人生そのもののように静かに積み重なっていきます。

そしてラスト。
兄との再会は、派手な感動演出があるわけではなく、ただ、二人で夜空を見上げるだけでした。
でも、その静けさが、これまでの道のりの重みをすべて物語っていました。

派手さはないけれど、じんわりと心があたたまる一本。
まだ観ていなかったことを少し後悔しつつ、今このタイミングで4Kリマスターで観られたことを、ちょっと嬉しく思いました。

ロードムービーが好きな方、そして「ちょっと違うリンチ」を観てみたい方に、ぜひおすすめしたい作品です!